傷 瑕 疵 きず

文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)
やっとここまで来た。。
大好きな京極堂シリーズだけど、なにしろ分厚い、重い、字が多い。
なので普段気軽に持ち歩くのもちょっと億劫なので、家で読むのがほとんどなんだけど、
ようやく「瑕」まで読みきった、「夏」からもう一度読み直そうかと思ったら
「雫」ってのがでてるのね…。
 
内容の方は、個人的には「檻」に続く傑作ではないかと思います。
一人称(語り手)が次々に代わって行きながら、時間が微妙にクロスオーバーしつつも
どんどん事件の核心に近づいていくスピード感は圧巻!
語り手が代わるのは今までにもあった、というかむしろこのシリーズではその方が
常であったんだけれども、この作品ではほぼ時系列順に語られており、
その分分かり易く、ぐいぐい作品の世界に引き込まれて行く。 
 
 
「本来、生き物は今しか認識しないものです。それで足りているからです。人間だけがその前後に過去と未来と云う、膨大な嘘の時間をくっ付けて世界を捉える。それも全部――嘘です。」   京極堂の憑き物落としのくだりより
 
この言葉、唯幻論に通ずるのかななんて思ったりしました。
最近岸田秀さんの著作もお気に入りなので。。